中央大学経済学部に逆転合格した細川さん
入塾して1年間で中央大学経済学部に逆転合格した細川さんが、校舎まで来て、国語担当の田邉先生との対談に応じてくれました。細川さんは1浪して「MARCHより2レベル下」の大学に全滅し、2浪目が始まる時に入塾いただきました。細川さんは現在4年生ですが、今でこそ受験期を振り返ってわき上がる思いを語ってくれましたので、逆転合格の裏にはどのような秘密があったのか、必見です。
目次
主体的に思考し、能動的に取り組む姿勢
Q. 高校を卒業してからの経過については、いかがでしたか。
細川さん: 高校を卒業してからの1年間は集団塾に通っていたのですが、先生1人に対して生徒30人ほどでしたので、なかなか質問できませんでした。2浪が決まってから通い始めたのですが、1対1なので先生と直接会話する時間が増えました。
Q. 入塾してからの成績の伸び具合はいかがでしたか。
細川さん: 伸びました。勉強方法について、毎度細かく具体的に聞けたので、実力が付いて模試の成績も伸びました。
Q.入塾して、勉強への向き合い方は変わりましたか。
田邉先生:一般論で言いますと「楽なほうに、好きなほうに流れる」というタイプでしたので、私の方で意図的にペースを作って彼を巻き込む、という形でやっていましたね。彼自身、しんどかったのではないかと思います。
細川さん:「自分でよく考えましょう」と言われたことに加えて、「指示されたことだけではなく、自分で主体的に考えて受験勉強を進めましょう」と言われたことも覚えています。そのようにして能動的に思考する姿勢が身につき、入塾してから、模試の成績や偏差値も伸びていきました。
フィーリングを排して正確に全訳を作る
Q. ご自身の自助努力とは別に、田邉先生の教え方や方針が活きた点はありましたか。
細川さん:今までノートも雑に取っていたのですが、指示されたとおり、工夫してきれいにノートを取るようにしました。また、課題文に線を引きながら読むようにしました。
田邉先生:指示語や接続語をマークして、「ロジックマーカー」などの注意点を意識しながら読むこと。それは最初の頃、かなり徹底して言ってきたと思います。
Q. 具体的に、ジャンルごとに伸びた点を教えてください。
細川さん:古文だと、一文まるまる大雑把に訳してしまうことが多かったのですが、古語を一語一語、正確に訳文に反映させ、正確な現代語訳を作れるようになりました。それが、ひいては古文の読解力と記述問題にも役に立ちました。
田邉先生:やはりフィーリングで訳してしまう人が多く、古語、文法といった個々の情報の把握がえてして曖昧(あいまい)でした。そのため、まずは「傍線部だけでも正確に理解し、正確に現代語訳すること」を目指しました。結局、傍線部だけを訳すと言っても、簡単な事ではありませんから、短い古文の文章をキッチリ正確に全訳する訓練を積み重ねました。「本人には厳しい課題かな」と思うこともありましたが、全訳のトレーニングを積むことで、実際に入試問題に接した時に傍線部だけでも正確につかめるようにしました。
「量より質」を重視し、粘り強く堅固な土台を
Q. それが「足場」となって、古文力がついていったわけですね。では記述は?
細川さん:そうですね。国語の記述は、60字以上の大型記述が苦手でした。田邉先生からは、「時間を掛けてでも良いから、一文一文をきっちり書くよう」指導されたのを覚えています。私は60字の記述だと日本語の内容がごちゃごちゃになってしまっていたので、時間を掛けて内容を整えるよう言われました。
田邉先生:はじめは、国語の記述は、「ゆっくりでいいから丁寧に仕上げる」ということを目標に据えてやっていきました。記述というのは、現代文にせよ古文にせよ、「内容が曖昧な人は、フィーリングで書き上げていて、本文に即していない」ということが長年の経験で心得ています。そう意味では、現代文では、指示語、接続詞、構文、論の流れ、内容の流れといった類ですね、古文では先ほど申し上げたような古語や文法といった情報をベースに構成するようにと、秋口までは念押ししていきました。
Q. 秋までは〈国語の基礎力〉を盤石にするということを据えて国語力アップを図ったわけですね?
田邉先生:演習量も必要だとは思うのですが、それもケースバイケースとなります。やはり「古語、古典文法、内容の流れの把握、筆者の主張の理解、論旨の一貫した記述」といった「質」が揃っている場合でしたら、「では演習量を」ということになりますが、個々の技能の「質」を高めていく事に力点を置きましたので、演習の「量」を副次的といたしました。この点は、最後の最後まで「演習量を増やしたい」と私自身も葛藤があり、ずっと解消しない悩みが続く中、彼にとって最善になるよう、工夫を凝らしました。
Q. むやみやたらに多くの問題を解かせなかったという事ですね?
細川さん:そうですね、1回の授業で、短めの文章を何度も全訳して磨きをかけたり、記述も数回書き直していくというのが、僕にとっては良かったです。今になって思えば、私の性質に合わせて、粘り強く「質」を高めていって下さったのだと思います。たしかに途中で不安を感じることもありましたが、少なくとも国語に関しては、あえてたくさんの問題に手を出さないことで、「質」を高めていく事も重要だと考えています。
「対立構造の把握」などの技術を一つ一つ醸成
Q. 内容理解の問題への対応はいかがでしたか?
田邉先生:漢字や故事成語を大事にしたというのが一方にありながら、欧米と日本の思想の違いといった現代文を読む上での知識を折々に挟みつつ、「進度」にこだわるというよりは、「一つ一つのプロセスが膨らんでもいいから、じっくり実力を醸成していこう」というスタイルで考えていました。
細川さん:まさにその通りでした。現代文で言うと、論旨における対立構造を見抜くために、個々の用語レベルの対比から手ほどきして頂きました。欧米と日本の思想の違いであれば、欧米思想における「自然の克服、超克」と、日本における「自然との調和、共存」なども指摘して下さったうえで、対立構造を図に書いて示してくださいました。
Q:お二人の間では、どのようなコミュニケーションがあったのでしょうか。
田邉先生:揺れてたよね。将来的な進路とか、やりたい事、進学する学部も含めて。そういう意味では、「頑張ってるかな?」と思うこともありました。
細川さん:自分の希望する大学と進学先、自分のやりたい事と進学学部にズレがあり、気が進まないこともありましたが、授業ではいつも分かりやすく教えて下さったので、ありがたかったです。私は受験を終えてから4年弱経つのですが、あの頃教わった現代文の技術、たとえば「対立構造の把握」などは、大学教授の本を読みながら思い出すことがあります。
1年間で偏差値53⇒60に
細川さん:古文は読解力だけでなく、時代背景や知識も田邉先生から習い、受験の役に立ちました。英語は、国語と違って、とにかく量をこなされました。英語は、構文など暗記要素が非常に多いので、量をこなすことでその点を克服し、成績が上がったのかなと思います。たとえば文法でしたら、これと決めた参考書を何回もやることで力が付きました。いたずらに多様な教材に手を出さず、一つ一つ着実に固めていけました。
Q. 授業を取っていた科目である国語と英語で、つらかった思い出はありますか。
細川さん:国語と英語に共通する点で、国語の記述や論述、英語の和訳などで、模試の際に日本語がごちゃごちゃになってしまうことが多かったです。根本的な言語力に問題があったのですが、1年間で基礎を固めることができました。
田邉先生:英文和訳などに、現代文の力が響いてきますからね。
Q.受験勉強で楽しかった点はありますか?
細川さん:英単語や古語など、暗記すればその分、点数が上がる要素は勉強するのが楽しかったです。その一方、「先生がいて良かったな」と思うのは、国語の記述や論述、英文和訳や英作文などを、丁寧に添削してもらえたことです。
大学入学後も役に立った現代文力と英語力
田邉先生:特に現代文は、大学に入って、文章を論理的に読んだり書いたりという事は、その先で求められていくので、そういう意味では、いたずらに沢山解くのではなくて、論理構造を丁寧に組み立てて、短い文章を徹底的に繰り返し分析していったのは、彼においては正解でした。
Q.では英語に関しては、どうでしょうか。
細川さん:私の頃はセンター試験だったのですが、センターを含めて英語の受験勉強も、大学に入ってから役に立っています。大学に入ってから数ページの英文を読むことが多いのですが、構文把握、全体の構造の理解、英文和訳などにおいて、すごく役に立っています。大学の授業では、英語の授業も一般教養の授業も、A4で2~3枚のレポートを提出することが多いので、論旨の整った文章を書く力やパラグラフライティングなど、現代文を通して養った力が役に立っています。
田邉先生:私はもう40年くらいこの仕事をやっていますが、やはり昔は集団塾が多かったです。でもその一方で、個別というのは、一人一人の生活習慣や精神状態に合わせて教えていけるのが良い点だと思います。細川君のケースでも、彼の性格、得手不得手や、進路についての希望に柔軟に合わせて指導を進めていく事が出来ました。